1980年代は毎試合、巨人戦がテレビ中継され、視聴率20%を超えていた。その中で、4番を背負った原は大きな重圧を受けていた。クロマティが在籍した最初の3年間は優勝を逃し、原は戦犯扱いされていた。9年連続日本一に輝いた時の主軸である王貞治、長嶋茂雄と常に比較され続け、バッシングを浴びていた。
「原監督も、クロマティの本のことは快く思っていなかったでしょう。クロウ自身は2005年にアメリカ独立リーグの『ジャパン・サムライ・ベアーズ』の監督に就任したものの、ファンや審判などとトラブルを起こし、解雇された。同年には、漫画『魁!!クロマティ高校』の映画化に関して、パブリシティ権の侵害を主張。巨人退団後はトラブルメーカーのイメージもつきました。
そのような過去はあるものの、今年チームに帯同できたのは、お互いが過去を水に流したからに他ならないでしょう。実際、クロマティが来てからチームは上昇気流に乗ったし、彼のような明るい存在はプラスになる。ただ、正式にコーチに就任するよりも、臨時コーチのような形で関わるほうが、どちらもダメージを受けないで済むような気がします」
1980年代の巨人ファンからすれば、原監督とクロマティ氏のタッグは是非見てみたいところだが、来季のコーチ陣容はどうなるか。(文中一部敬称略)