「まさに、ごくつぶしですよ」と明るく笑う上田さん。この本を読み、「うちもやられた~」と共感の声を寄せる飼い主が多い一方、猫を飼ったことのない人には、「ここまでされるの!?」と衝撃が走る。
「今でこそ慣れましたが、私も飼い始めた頃は絶望してばかりでした。何時間もかけて仕上げた手描きのイラストにコーヒーをこぼされた時など、怒りで頭がおかしくなるかと思いました。
でも5年10年と経ち、日々やらかされるうちに、汚されて困るものは極力買わなくなり、買っても戸棚の中に隠しておくなど自衛するように。まあしょうがないか、と思えるようになったんです。
そして今では、やらかされる日常が普通になり、そんな猫がいることで妙に落ち着いている自分がいます。“いたずらっぷりがお茶目でかわいい”なんて思えるほど心は広くないですが、愛がなければこの生活は続いてないでしょうね」
と、それでも猫が好きと話す上田さん。単行本を上梓後、4匹のうちの1匹が老衰で他界した。革ジャンにおしっこを引っ掛けたポコである。
「大事に思っていた猫だったので、心にぽっかり穴が空いたように寂しい。生後1年の頃から17年間うちにいて、仕事中も寝る時もずっと一緒でしたから。友達に逝かれたような喪失感ですね。
今後、もう1匹飼うかと言われれば、どうでしょう。私ももう50代半ばなので、猫の寿命を考えるとお世話を全うできるか心配で。でも飼ったら楽しいでしょうね。猫は、触れば温かく気持ちよくて癒されますし、見ていれば面白くて飽きないですから」
やらかされた数が、より愛おしさを醸成するのかも。
※女性セブン2019年10月31日号