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日韓歴史共同研究、日本側の研究者が語るその困難さ

日韓関係改善の日は遠い(写真/EPA=時事)

「戦後最悪の日韓関係」と言われる現在、隣国の「対日観」は子供たちにどのように浸透しているのか。韓国で行なわれている「反日教育」が問題視されて久しいが、実際の教科書で日本がどう書かれているのか。

 韓国の歴史教科書には、日本とは違う大きな特徴がある。近現代の割合が極めて多いのだ。

 どの出版社の歴史教科書も全体の約4割を20世紀以降の記述に割いている。特に多いのは日帝支配の36年で、この期間について70~80ページ割く教科書も珍しくない。歴史外の教科書でも地理では竹島(韓国名・独島)に多くのページを割いているほか、音楽の教科書からは親日派が作った曲が消えつつある。

 科目を問わず、韓国の教科書が日本の存在に影響を受けるのはなぜなのか。東京通信大学教授で、2002年から2010年まで行なわれた日韓両政府の共同事業「日韓歴史共同研究」に日本側の研究員として参加した重村智計教授が分析する。

「国家のアイデンティティに関わるからでしょう。歴史教科書が近現代史に偏るのもそうです。韓国はまだ独立して70数年と歴史が浅い。日帝時代は客観的に考えれば不名誉な時代ですが、だからこそ我々は日本と闘って独立を勝ち取ったという史観の強調が必要だった」

 日韓歴史共同研究でも、日帝時代の強制連行や竹島(韓国名・独島)が韓国領土であることの明記など、韓国政府の主張をそのまま採用するよう韓国側に求められたという。

「このプロジェクトは3回目の研究報告を機に終了しました。韓国側は歴史の解釈を主張し、日本側は歴史の事実確認とその証拠を求めた。歴史や教科書に対する想いやバックボーンが全く違うのに、それを無理矢理乗り越えて共同研究するというのは、大変難しい。そのことを実感しました」(重村教授)

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