今後、日本に関する記述に変化はあるのだろうか。重村教授が言う。
「1980年代の保守政権の頃は、日韓国交正常化における日本の資金援助についても今より多く記述していました。政権が変わればまた変化があるかもしれません。ただ、私が日韓歴史共同研究に参加して実感した最大の問題は、韓国の歴史学者は右も左も『日本の変化』を認めないことです。
戦後の日本は平和憲法を掲げ、新しい価値観を生み出していった。韓国側はそのことを理解しつつも、一方では日本は戦前からずっと変わらない“侵略国家”として位置付ける史観も残す。人も国も、時代が変われば変化する。互いにその点を認め合うことができれば、日韓共同の歴史研究も進展が見られると思います」
それぞれの教育の土台の違いを知ることこそが、相互理解の第一歩になり得る。
※週刊ポスト2019年10月18・25日号