停電や断水に見舞われた武蔵小杉のマンションに置かれた保存水(10月16日/時事通信フォト)

停電や断水に見舞われた武蔵小杉のマンションに置かれた保存水(10月16日/時事通信フォト)

 今回の建物地下への浸水のケースは、確かにタワマンの脆弱性を一気にさらけ出してしまったが、冷静に見るとタワマンの持つ違う側面も見えてくる。

 同じエリアにあって、同程度に冠水したと思われる他のタワマンは、メインで取り上げられている47階建ての1棟の他はもう1棟。私が認識している限り、この2棟以外には同様の被害は出ていない。むしろ、なぜ2棟のタワマンだけに被害が発生したのかにも目を向けるべきだ。

 つまり、今回と同様に地上から1メートル以上の冠水があっても、軽微な被害で済ませられる建物の構造や、あるいはその方法が存在するのである。

 具体的には地下に通じる駐車場の出入り口に、堅固なシャッターを設けておいて、水害が発生しそうな場合は予め締め切り、さらに土嚢などで補強すればよいのではないだろうか。被害に遭ってないタワマンの駐車場入り口が、実際そのように防護されているタワマンもあったという。

 つまり、タワマンは地下への浸水を許せばかなり脆弱だが、今回レベルの冠水であればシャッターと土嚢で防げていたということだ。

 今回、マンションデベロッパーの業界も、既存のタワマンの管理組合幹部の方々も、大きな教訓を得たと思う。それは、「何としても地下への浸水を許してはいけない」ということだ。もし電気室が冠水すればそのタワマンが停電状態に陥り、復旧には多大な困難と時間を要することが明らかになったのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン