停電や断水に見舞われた武蔵小杉のマンションに置かれた保存水(10月16日/時事通信フォト)
今回の建物地下への浸水のケースは、確かにタワマンの脆弱性を一気にさらけ出してしまったが、冷静に見るとタワマンの持つ違う側面も見えてくる。
同じエリアにあって、同程度に冠水したと思われる他のタワマンは、メインで取り上げられている47階建ての1棟の他はもう1棟。私が認識している限り、この2棟以外には同様の被害は出ていない。むしろ、なぜ2棟のタワマンだけに被害が発生したのかにも目を向けるべきだ。
つまり、今回と同様に地上から1メートル以上の冠水があっても、軽微な被害で済ませられる建物の構造や、あるいはその方法が存在するのである。
具体的には地下に通じる駐車場の出入り口に、堅固なシャッターを設けておいて、水害が発生しそうな場合は予め締め切り、さらに土嚢などで補強すればよいのではないだろうか。被害に遭ってないタワマンの駐車場入り口が、実際そのように防護されているタワマンもあったという。
つまり、タワマンは地下への浸水を許せばかなり脆弱だが、今回レベルの冠水であればシャッターと土嚢で防げていたということだ。
今回、マンションデベロッパーの業界も、既存のタワマンの管理組合幹部の方々も、大きな教訓を得たと思う。それは、「何としても地下への浸水を許してはいけない」ということだ。もし電気室が冠水すればそのタワマンが停電状態に陥り、復旧には多大な困難と時間を要することが明らかになったのだ。