「たしかにラグビーW杯と時間帯が重なったのは痛かったですが、3、4戦は強力な裏番組はなかった。しかも、1、2戦はラグビーだけでなく、他局のバラエティにも負けている。よく地上波だけでなく、BS、CSの視聴率も含める必要があるという意見が出ますが、BSやCSを合わせても雀の涙ほどにしかなりません。視聴者が日本シリーズへの興味を失っているのではないでしょうか」
なぜ、今年は3回も視聴率1ケタを記録してしまったのか。
「ラグビーW杯という世界大会を見た後だと、国内大会がどうしても小さく見えてしまうという側面もあったと思います。高い視聴率を取るには、コアな野球ファンとは別の“にわかファン”も必要です。今年のシリーズは野球ファンしか見ていなかったのでは」
巨人だけに低視聴率の責任を転嫁するのは早計だという見方もある。野球担当記者が話す。
「過去の例を見ても6、7戦目までもつれれば、視聴率はもっと上がったはず。なので、なぜソフトバンクの4連勝で終わったかを考えるべきでしょう。7年連続でパ・リーグチームが日本一になり、最近10年でセ・リーグの日本一は1回だけ。交流戦でパ・リーグが圧倒していることからもわかるように、セ・リーグと差が付きすぎている。これでは、日本シリーズ自体の価値が薄れ、視聴率が下がって当然。クライマックスシリーズがあることで優勝しなくても日本シリーズに出場できるという違和感も根強いでしょう。
考えられる理由を挙げればキリがありませんが、プロ野球界やセ・リーグの工夫で改善できる点もたくさんあります。なぜ、セ・リーグはパ・リーグに勝てないのか。これを解消しない限り、日本シリーズの価値は下がる一方でしょうし、視聴率も上がらない。単に巨人の人気が落ちたという一言では片付けられない問題を抱えています」
プロ野球界最大のイベントである日本シリーズの低視聴率という覆せない事実をプロ野球機構、セ・リーグはどう受け止めるか。指名打者制度の導入など、あらゆる改革が必要な時期に差し掛かっているかもしれない。