ビジネス

孫正義氏「純利益1兆円で法人税ゼロ」に国税庁が反撃の狼煙

狭まる包囲網(写真/AFP=時事)

「世界の投資家はルールのなかで色々な節税を合法的にやっている。(ソフトバンクは)合法的な範囲のなかである程度、節税を図っていく」

 今年6月に行なわれた株主総会でそう発言したのは、ソフトバンクG(グループ)会長兼社長の孫正義氏(62)だった。その姿勢に対し、国税庁は虎視眈々と反撃の機会をうかがっていたようだ。

「莫大な利益をあげながら法人税がゼロだなんて、他の納税者が納得するはずがないでしょう。これ以上の抜け穴は許されないと考えた国税は、今年末の税制改正に向け周到に政府・与党に根回しを続けてきました」(国税庁関係者)

 2018年3月期の連結決算で純利益約1兆円を計上していたソフトバンクGだが、「課税対象となる所得がない」として、法人税の支払いを免れていたことが明るみに出たのは今年6月。2016年に買収した海外子会社の株の一部をグループ内で譲渡するといったやり方で「欠損金」を生じさせ、1兆円の利益が税務上、相殺されたのだ。ジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。

「グループ内の取引で実態に変化はないが、法人税はゼロになった。このやり方は適法な処理であり、国税庁も欠損金の計上時期の誤りを指摘するだけで、追徴課税を迫ることはできませんでした」

 来年も同じことが繰り返されてはならない──前出の国税庁関係者の言葉からは当局サイドのそんな“決意”が伝わってくる。

「海外子会社との株取引を利用した過度な節税策を防ぐようルールを変える。規制の詳細は財務省が詰め、与党の税調の議論も踏まえて、来年度の税制改正大綱に盛り込んでいくことになる」

 国民の多くが消費増税に苦しむ中、当然のことかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン