国内

「半グレ」集団のいま 暴力団の稼ぎを超えた可能性も

長年のヤクザ取材の経験から語りつくした溝口氏

長年のヤクザ取材の経験から語りつくした溝口氏

 吉本芸人の闇営業問題など、「半グレ」と呼ばれる犯罪集団の存在に注目が集まっている。かつて反社会的勢力と言えば「ヤクザ」が代名詞だったが、時代は変わった。長年の暴力団取材のエッセンスを『教養としてのヤクザ』(鈴木智彦氏との共著)にまとめたジャーナリストの溝口敦氏が、その変化を分析する。

 * * *
 ヤクザ、暴力団をしのぐ勢いで半グレ集団の暗躍が目立っている。警察はその勢力や参加メンバーを把握しておらず、特殊詐欺の被害額などから、わずかに彼らの増殖を推測しているに過ぎない。半グレがヤクザに比べて人数が多いのか少ないのか、その1人当たり稼ぎ額がヤクザより多いのか少ないのか、ほとんど何もわかっていない。単に彼らの犯罪による被害額の一部が統計により明らかにされているだけだ。たとえば2018年、彼らによる特殊詐欺被害額は356億8000万円に及んだ。

 半グレ集団は特殊詐欺以外にも新しいシノギを創出している。金のインゴット密輸、ビットコインの販売やマイニング(掘削)、少し前には危険ドラッグの製造と販売、そして2003年頃オレオレ詐欺などの特殊詐欺を考案、以後一貫して実行し、太い資金源としてきた。

 ヤクザのなかには半グレからノウハウを学び、それらをシノギとしている者もいるが、おそらくこれら新シノギによる稼ぎ額は、ヤクザ、暴力団が伝統的に行なっている覚せい剤の密売、各種の賭博開帳、恐喝、管理売春などの総額より多いだろう。国民のこうむる被害額はヤクザより、むしろ半グレによるもののほうが多いのではと疑われる。

 ヤクザは暴力的にはともかく、経済的には半グレに押されている。半グレはもともとヤクザの親分-子分関係には従えないとするグループである。ヤクザに接近すると、ヤクザからたかられるだけと警戒する者たちだから、基本的に両者は別立ての犯罪集団である。だが、ヤクザの零細化につれ、ヤクザからさえも脱落する元組員たちを吸収する受け皿にもなる。少数だが、逆に半グレからヤクザに移籍する者もおり、一部で両者の混ざり合いが見られる。

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン