電動キックボードの前にも、「電動自転車シェアリング」が海外でブームになったことがあった。特に中国でのブームはすごく、街中が電動自転車であふれたこともあった。だが、無秩序に自転車が放置されて街が荒れることやサービスの過当競争が起きたことなどから、今は下火になっている。
電動キックボードが世界的にどうなるかは、まだ不透明だ。
◆国内では大きな「道交法」の壁、日本ならではの「バランス」を求む
日本はさらに難しい部分がある。
そもそも電動だと「原動機付自転車」(いわゆる「原付」)と同じ扱いになるため、「ブレーキ」「ライトなどの保安器」が必須で、公道を走るにはナンバーを取得する必要もある。ドライバーには原付免許も必要だ。だから、海外のように気軽に使えるものとしてビジネス展開することができない。まず道路交通法の壁が大きいのだ。
だが、電動キックボード自体が便利であることに変わりはない。そこで、いくつもの企業が自治体や大学と共同で「実証実験」を展開中だ。「LUUP」「mobby」などの国内ベンチャー企業の他、海外の大手である「Lime」は、KDDIと共同でビジネス展開を検討している。
特区や大学などの私有地を使って実験を行った上で規制緩和を促しつつ、日本ならではの電動キックボードに関するルールを見つけよう……という流れだ。
筆者は海外出張時に、電動キックボードを日常的に使っている。もちろん危険性も感じるが、それ以上にとても便利だ。日常の足としても、観光地での利用にも向いている。そうした良さに着目し、日本でも良いバランスでのサービスが早期に展開できることを期待したい。