国内

N国の選挙戦略はNHKにとって「悪魔のビジネスモデル」

小学生が真似するほど広まった右腕を振りかぶるポーズをとるN国党・立花孝志党首

小学生が真似するほど広まった右腕を振りかぶるポーズをとるN国党・立花孝志党首

 右腕を振りかぶりながらキャッチフレーズを叫ぶ政党「NHKから国民を守る党」の政見放送は、有権者の多くが冷ややかに見た一方で、小学生が芸人の一発芸のようにマネする流行も生み出した。誰もまともに相手をしないだろうという世間の予想を裏切り、今では衆議院議員1名、参議院議員1名、市区町村議員31名を擁する勢力になっている。略称「N国党」は、なぜ勢力を伸ばしているのか。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)の著者であるフリーランスライターの畠山理仁氏が、彼らの選挙戦略とそのビジネスモデルについて解説する。

 * * *
「NHKを、ぶっ壊す!(ニッコリ)」

 そんなフレーズや奇抜な政見放送ばかりが注目される「NHKから国民を守る党(N国)」。なんとなく、「反NHKの団体」というイメージを抱いている人は多いかもしれないが、胸を張って「N国の実態を知っている」と言える人は少ないはずだ。

 実は、こうした世間の無知、無関心も、N国躍進の理由の一つになっている。

 N国は2013年6月の結党以来、公職選挙法を最大限に活用し、炎上上等の選挙戦略で勢力を拡大してきた。現在の現職地方議員の数は31名。7月の参議院議員選挙では立花孝志党首が比例代表で初当選を果たし、念願の政党要件も獲得した。

 しかし、それからわずか3か月足らずの10月8日。立花党首は10月10日公示の参議院埼玉県選出議員補欠選挙(27日執行)に立候補することを表明し、参議院議員を自動失職する道を選択した。

 この不可解な行動で、多くの人の頭の中には疑問符が浮かんだことだろう。立花氏は補欠選であえなく落選したが、落選翌日の記者会見では報道陣に笑顔でこう語っていた。

「今回の補欠選でかかった選挙費用は1万1千円。16万8289票(得票率13.6%)で供託金300万円も返ってくるラインを超えたから、勝ったようなもんですよ」

 立花党首が余裕の表情を浮かべられるのは、参議院での1議席がN国の浜田聡氏の繰り上げ当選で維持されているからだ。党の議席を減らさず、世間を騒がせて知名度を上げる。これは極めてN国らしいやり方だった。

 このように、選挙に出続けて売名行為を続けるN国の戦略を、ホリエモン(堀江貴文氏)のようにプラスと評価する人もいる。その一方で、従来の常識や倫理観からは予想できない言動に呆れ果て、強いマイナス感情を抱く人たちも数多く生み出している。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン