N国・立花孝志代表と無所属の渡辺喜美参院議員は7月30日、参院で新会派「みんなの党」結成を発表
とくにN国が力を注いでいるのは、大選挙区制で行なわれる選挙である。これは1つの選挙区で複数の当選者を選ぶもので、市区町村レベルの地方議会議員を決める選挙である。もう一つ力を入れているのが、国政選挙における比例代表制だ。
これらの選挙結果を分析すると、あることに気づく。有効投票数の約2.5%を取れば、「1議席」の当選ラインに届くのだ。
立花党首はこれまでに何度も、「40人のうちの39人に嫌われても、1人が入れてくれれば当選できる(得票率2.5%)」と言ってきた。その言葉の通り、議会で多数派を占めることはできなくても、確実に1議席は取れるラインがある。N国はここに目をつけて各地の選挙に候補者を立て、1議席を取りに行っている。議席を獲得すれば、税金から歳費が支払われる仕組みが手に入るからだ。
議会制民主主義の中で、1議席でできることは限られる。しかし、NHKの受信料制度に文句を言う勢力は、いつまで経っても消えない。地方議員の発言力は、ただのボランティアとは違ってNHKに対するプレッシャーにもなる。しかも、国政選挙や知事選挙の際には、「政見放送」というプロモーションビデオの撮影を行う義務がNHKには課されている。こうしたN国の選挙戦略は、NHKにとって「悪夢のビジネスモデル」と言えるだろう。
●はたけやま みちよし/フリーランスライター。1973年生まれ。早稲田大学在学中から取材、執筆を始める。泡沫候補と呼ばれる立候補者たちを追った『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)で第15回開高健ノンフィクション賞受賞。他の著書に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。