「生理痛を和らげたり、月経血の量を減らしたりすることが可能ですし、生理の期間も短くなります。何より月経不順を改善できるため『生理がいつ来るかわからない』という煩わしさから解放されます」(深沢さん)
さらに、毎月生理の症状が重くてつらい人も、ピルで症状を緩和できる。医療ジャーナリストの増田美加さんはこう話す。
「低用量ピルは、日常生活に支障が出るほどひどい生理痛をともなうような月経困難症の保険適用の治療薬としても使われています。月経前症候群と呼ばれるPMSも改善されることが多く、低用量ピルを使うことで生活の質は向上します」
PMSとは、月経の数日前に続く精神的あるいは身体的な症状のこと。いつもは気にならないようなことにイラつくといった情緒不安、眠気、のぼせ、倦怠感ほか、症状は多岐にわたり、生理が始まるとその症状は軽くなる、もしくはなくなる。
こうしたPMSのほか、生理に関連する症状にはさまざまなものがあるが、日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査結果」では、婦人科系疾患を抱えて働く女性の総労働損失は、4.95兆円と試算されている。
また、海外のデータでは、生理痛が重い(月経困難症の)人と、軽い人を比べると、生理痛が軽い人の方が学業の成績がよかったという報告もあると深沢さんは言う。
「就職に関しては、生理痛が重い人は軽い人に比べ1.8倍、希望先に就職できていない。生理痛やPMSがある場合、体調がよくてベストパフォーマンスを出せる時期は、月経後の1週間しかありません。でもピルをのんでいれば、常に同じくらいのパフォーマンスを出せるのです」
生理のつらさから解放され、子宮や卵巣を疲弊させない方法は、ピルをのむか、妊娠・授乳かのどちらかしかない。昔と違って女性の役割も変わってきている今、親世代は子供の体を守るためにも、ピルという選択肢を知っておくことが大切だ。