国内

毒母に悩むのは大半が女性、母は自分の娘を分身と思いやすい

「母に褒められたい」気持ちがいびつさを生む(写真/PIXTA)

 近年、いろいろな作品の中で描かれることが増えた “毒母”。2019年7月期放送のドラマ『凪のお暇』(TBS系)では、黒木華演じる主人・大島凪を言葉でコントロールする母・夕(片平なぎさ)が登場した。一方で、主人公を徹底的に甘やかす母親が登場した2017年放送のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も記憶に新しい。

“毒母”に悩む人は圧倒的に女性が多い。その理由を家族問題に詳しい精神科医の斎藤学さんはこう分析する。

「お母さんは当然女性ですから、同じ女性である娘を自分の分身だと考えやすく、他者だと認識するのが難しいようです。男の子の場合はおむつ交換のたびに自分にないものが目に入りますから、違う生き物だと認識しやすいのでしょう」(斎藤さん・以下同)

“同じ女性”というだけの事実が、無意識のうちに、母と娘を苦しみの連鎖に落としているというのだ。

「お母さんも大変だったんだ」「私がいなくなったらかわいそう」などといった女性ならではの共感力の高さが、母と娘をべったりと“癒着”させてしまうという。

「“親のため”という思考は困りますね。母のことを“かつて親子だった友達”くらいに思うのが理想です。娘の方も、男の子と違って共感力が高いので、母の感じているものを読み取りやすい。母も、女の子の方が自分に共感してくれるんじゃないかと期待してしまうのです」

 また、女性特有の性質の1つに「嫉妬深さ」がある。母は娘にとっていちばん最初のライバルになるというが、毒母と娘の関係が嫉妬でこじれた、極端な例があるという。

「日本の一流大学を卒業後、アメリカの名門大学で修士を取ったうえ、通信大手のグローバル企業に入ったハイスペックなある女性が、外で気を張っているせいか恋人との関係に傷ついたりすると実家に戻り、母親の前でだけ子供返りしています。母の望み通りの人間になったことを認めさせ、母を嫉妬させようとしての行動だと分析できます。母は母で夫以外の恋人がいて、娘の話になど興味がない。いやがって席を立とうとする母を、娘は押し倒してまで自分のそばから離れさせないのです」

 若くして成功を収めたにもかかわらず、母に認めてもらえないと永遠に満たされない。つねに「母に褒められたい」という気持ちが先立ち、現状に満足しないばかりか、誰もがうらやむような恋人のことも見下している。毒母に育てられていびつな心を抱えた娘の“最終形態”なのかもしれない。

※女性セブン2019年11月21日号

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン