なぜなら、そうした洗脳教育で育った子供たちが大人になり社会の中枢を占めるようになったからだ。マスコミもすべて、つまり保守と革新の区別無く反日一色となった。そうしなければ新聞は売れずテレビは視聴率が落ち、反日を少しでも緩めれば国民から糾弾されるからである。
韓国の歴史学界も例外では無かった。彼らは歴史の専門家である。洗脳用の教科書がいかにデタラメに満ちているか、彼らだけは真実を知っている。学者に限らず歴史家の使命は歴史の真の姿を追究すること、そして民主主義国家における歴史家の責任はそうした真実の歴史の姿をためらわずに国民に告げることだろう。だが多くの学者は、いやほとんどすべての韓国の歴史学者はそうした義務を放棄している。
だが、そうしたなかにもほんのわずかだが勇気ある歴史学者たちがいる。その代表的な一人が李教授なのだ。じつは、李教授は韓国国内においては「親日派」のレッテルを貼られているが、厳密にはそうでは無い。かつて李教授は、学者として公平かつ客観的に、具体的に言えば日本統治時代のデータに基づいて、韓国の教科書で強調されている日韓併合時代に日本が朝鮮人民を収奪したというのは間違いで、むしろ併合時代に朝鮮半島の経済はレベルアップしたという学説を発表した。
これは学説であって、異論があるならデータに基づく客観的な反証を挙げて反論すればよい。それが民主主義国家の原則である。しかし韓国では、マスコミが一方的に「この学説はけしからん」と糾弾した。
李教授を糾弾した韓国マスコミの記者たちは、間違い無く論文の根拠となるデータなど検証していないだろう。なぜなら、歴史洗脳教育と並行して行なわれた漢字追放運動によって、いまの韓国人の多くはまったく漢字が読めなくなっている。日韓併合時代の古文書など読めるはずがない。
一方、李教授は古文書解読の専門家で、韓国古文書学会の会長を務めていたこともある。冷静に考えれば、このようなマスコミの批判は民主主義国家においてはあり得ないのだが、李教授は徹底的に非難された。韓国のマスコミというものが、いかにレベルが低いかこの事実だけでもよくわかるだろう。