「母からもらった『いらない物』を捨てるだけで意外なほどスッキリしました。母がくれたというだけで、本当はいらないのに捨てられなかった。それを持っているというのは、自分よりも母の方を大切にしているということなんです」(田房さん・以下同)
“いらない”と感じる自分の心を尊重して、まずは自分が自分の味方になるための、いちばん簡単な行動だという。そして、「母からもらった物を“いらない”と思ってもいいんだ」と、自分を肯定する第一歩になる。
◆共感はあったが…
一方で、「自分が“毒母”かもしれない」と思う節があったら、まず“誰でも毒母になりうる”と認めること。娘に対する愛情があっても、過去の心の傷が、あなたを“毒母”にしてしまうのだから。
田房さんの代表作『母がしんどい』(KADOKAWA)が話題になった時、お茶の間からこんな意見が集まったと明かす。
「2012年に作品が話題になった時、たくさんの共感が得られたのですが、テレビで取り上げられると視聴者から『お母さんも人間なんだから許すべきだ』『育ててくれた母を責めるなんて、いつまで反抗期なんだ』という叱責が大量に寄せられました」
“毒母”は、自分の不安から娘に干渉していることに気づけず、自分の過激な言動も「娘のためになる」と思い込んでいる。そればかりか、自分自身も“毒母”のことは美化して、いまだに「親のため」に、過緊張状態で生きていることにも気づけていない。
高橋さんは、母も娘も、蓄積された体の緊張を解くことが最も有効だと説く。