「母から受けた傷やネガティブな感情を、頭だけで解消することはできません。体の緊張を解いていくことで、過去の思い込みもゆるんできます。深呼吸を1日20分~1時間ほど、2か月続けてみてください。必ず心身が楽になってきます」(高橋さん)

 体がゆるむことで初めて感情マヒが解け、自分の本当の感情にも気づきやすくなる。

「そのうえで、将来的に、母との関係をどうしたいか、本当の気持ちを探ってみてください。『このまま疎遠にする』でも、『心から感謝できるようになる』『母とハグできるようになる』でも、なんでもいい。自分なりの目標を定めて」(高橋さん)

「母を憎む自分の心を認めて、許して、憎みきったら、生きるのが楽しくなりました」と田房さんは言う。

“毒母”の娘は愛されていなかったのではない。母自身が、娘への愛情を表現できる段階まで成熟していなかっただけなのだ。

 田房さんが笑って話す一言が印象的だった。

「私、これから母が老いていく時間のことを考えると、『大変だろうな』より不思議とワクワクするんです。家族というものが好きになってきたのかもしれないです」

“大嫌いな母”から“かつて親子だった友達”へ――愛憎に苦しむ母と娘が目指すべきひとつの姿が見えた。

※女性セブン2019年11月21日号

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