ライフ

東京・湯島のおでんの名店「こなから」の長い一日に密着

創業29年の「こなから」本店

 秋の気配が深まる今日この頃、出汁の滲みたおでんが恋しくなる。大根、こんにゃく、はんぺん、がんも……どれを頼むか迷うのも醍醐味。東京・湯島の人気店「こなから」の一日を追った。元々「こなから」(小半)とは、日本酒などの単位「1升の4分の1(2合半)を意味する。店主・中田利雄さんは、「お酒は2合半ぐらいがちょうどいいという昔の人の教えですね」と語る。

 夜の帳が下りる頃、「おでん」と書かれた赤ちょうちんがほんのり灯る。午後6時。東京・湯島の路地裏、閑静な一角に浮かび上がる暖かな明かりに誘われ、客が次々と吸い込まれていく。ユニークな創作ダネで知られる人気店「こなから本店」。瓢箪型のおでん鍋を囲んだカウンター20席は、連日満席で賑わう。

 だが、おでん屋の朝は早い。午前8時前、常に一番乗りするのは創業者で店主の中田利雄さんだ。静寂に包まれた店内で1人、まずは“おでんの命”ともいえる出汁の仕込みに集中する。

「経験と研究と失敗を重ねて、この出汁が完成しました。おいしさの秘訣は4つの素材のバランスです。沸騰前に日高昆布を引き上げ、沸騰後に大分の干し椎茸の石突き(軸)、厚削りの鰹節、鯖節の3種類を投入。おいしくな~れ、おいしくな~れ、と思いを込め、きっかり10分間煮出します。後は濾すだけです」

 鹿児島に生まれ、10代から和食の料理人として福岡、関西、東京と腕を磨いてきた中田さんの熟練技と創意工夫魂は、30種類以上の自家製おでんダネにも注入されている。たとえば、高い人気を誇る「鶏スパイスつくね」は、黒胡椒と胡麻がたっぷり入り、唯一無二の風味で魅了する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン