国内

信長、秀吉らの書状は「実物」 歴史を塗り替える発見か

秀吉の「長い手紙」の理由とは?(時事通信フォト)

 愛知県豊橋市はこのほど、市内の神社に伝わる古文書の中から、織田信長、豊臣秀吉ら戦国武将の直筆書状を発見した。歴史作家の島崎晋氏は、発見されたうち、足利幕府2代将軍義詮(よしあきら)の直筆書状が特に重要だと指摘する。

 * * *
 去る11月6日、愛知県豊橋市図書館などからなる調査グループにより、かねて文化財に指定するかどうかの鑑定を進めていた同市の羽田八幡宮所蔵の古文書8点について驚くべき発表がなされた。筆跡や花押(サイン)、朱印(捺印)の形態などから、8点のうち5点が実物で、なおかつそのうち3点は、日本史上の重要な出来事を記した貴重な史料であるというのだ。

 実物というのは贋作や写しでないどころか、誰の直筆かも特定できたということで、なかでも特別価値の高いのが織田信長、豊臣秀吉、足利義詮のものだという。

 今回確認された豊臣秀吉の書状は、朝鮮出兵に出る前の宇喜多秀家、細川忠興、長谷川秀一の3大名に宛てたもので、「風向きが良くなったら、海を渡って朝鮮へ行くように」「遠路はるばる代官所に来たら食事をとらせるように」「連れて行った召使の女にもきちんと給料を与えるように」といった趣旨の細かな指示が長々と書かれている。

 長い文章を書くのは秀吉常套のやり方で、調査グループの一員でもある愛知大学文学部の山田邦明教授は、そこに込められた狙いについて、テレビの取材に応えこう述べている。

「秀吉は百姓の息子なのですね、皆にバカにされているわけですよ。それが自分より血統のいい人を支配しなくてはいけないという大変なことになって、ことさら大きな紙を使ってみたり、あるいはいっぱい書きまくってみたりと、策略ですね」(東海テレビ『ニュースOne』11月6日放送)

 同じく確認された織田信長の直筆書状の宛先は、現在の奈良県を治めていた戦国大名の筒井順慶。敵対していた大阪の石山本願寺に呼応するかのように松永久秀・久通父子が同じ奈良県下で謀反を起こした状況下、「明智光秀を丹波に派遣するよう申し付けた。筒井順慶は森河内城に勤番し、大坂への通路の警備や夜の待ち伏せなどに油断しないよう」と細かな注意を促す内容だった。

 どちらも戦国時代の戦術の研究に役立つ史料と期待されるが、この2人の書状よりも歴史的価値が高いとされるのが、室町幕府の2代将軍・足利義詮が配下の仁木義長に宛てた書状である。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン