作者の乃木坂氏は「結婚に対してポジティブな印象しかない」と語る

──『医龍』など他の作品でもそうだと思いますが、描き始めるまでに取材をかなりされているのだろうと想像しました。児童相談所や拘置所の取材で印象深かった事柄はありますか。

「事柄よりも、その場所の空気感というか、直に会って感覚でわかる部分のほうが大事で、知識よりもその場にいて初めて『あ、これで描けるわ』という感触が得られる瞬間があるんです。フランス革命の漫画を描いた時も、実際にベルサイユ宮殿を見て、やっと腑に落ちた部分があったんです。『医龍』のときは手術室を見学させてもらって、感覚で分かってようやく描けるというか。

 例えばこの部屋の隅っこってどうなってるんだろうとか、そういうことが気になるんですよ。床はどんなんだろうとか。空気はどんな感じなのかなとか。逆にそれがわかると気持ちの中でゴーサインが出るというか、取材はそこが一番大事かなと思います」

──第1集での見所は、アラタと真珠の拘置所面会での言葉の駆け引きだと思います。面会室という殺風景な場所でのシーンにもかかわらず、とても惹きつけられました。

「密室劇は『医龍』の時にやっていて、教授と教授の顔芸で一話を描いたこともありますので(笑い)、その経験が活かされていると思います」

──これからの展開がとても気になります。連載開始時から、すでに最終話を決めているものなのでしょうか?

「大雑把な話の流れは当然あるわけですが、そこにどうたどり着くかとか、たどり着いた時にどんな気持ちになっているかとか、そういうところは僕もまだ全然分からないし、むしろそれが大事かなと思っています。

 すごくハッピーなことが起きるとしても主人公たちはネガティブな気持ちでいるかもしれないし、何かネガティブなことが起きるかもしれないけど主人公たちは満ち足りているのかもしれないし。最終回は決めちゃうと気持ちが『作業』になっちゃう場合があるので、どう締めるのかは最初にあまり考えないし、そこにたどり着いた時に、最適な最終回があるのかなと思っています」

◆取材・文/高橋ユキ(ジャーナリスト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン