芸能

朝ドラ『スカーレット』 吉本新喜劇風の演出過多に違和感

番組公式HPより

 連続ドラマゆえ、いったん気になりだしてしまうと後に引く、ということはよくある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が朝ドラについて指摘する。

 * * *
 NHK連続テレビ小説『スカーレット』もスタートから1ヶ月半が過ぎ、ヒロイン・喜美子(戸田恵梨香)が信楽の地へと戻ってきました。いよいよ焼き物の絵付け師を目指すという、物語の中心軸をなす重要な場面へ入ったところ。陶芸家になるための修業シーンを、ワクワクしながら待っていました。

 ところが、毎朝見ているとある種の苦痛を感じてしまうのです。いったいなぜ? この苦痛の発生源はいったいどこから?

 考えてみるに、おそらく「ドタバタ演出」「下ネタ」の多さに原因があるのではないでしょうか。

 たった15分の短い間に「うるさい」と何度もつぶやいてしまう日があります。もう少しメインテーマをしっかりと描くことに時間やエネルギーを使ってほしい、と愚痴りたくなる日もあります。

 たとえば……44話(11月19日)は冒頭から「ゲロ吐いた」「ゴキブリ」「尻にホクロ」。いくら大阪放送局制作のお笑いノリとはいっても、全国で数千万人が見ている朝8時開始のドラマです。こうしたエピソードのつながりに違和感を抱く人が出てきてもおかしくない。しかも、小学生でもわかる単純な下ネタ。面白がる人もいるかもしれないけれど、そんなの朝から聞きたくない、という人もいるはず。

 笑いとは地域風土や生活文化から生まれるもの。東北の笑いと関東の笑い、関西の笑いにはそれぞれ違いがあって当然でしょう。逆から言えば、大阪制作なら関西風のベタな笑いや新喜劇風の笑いがあっていい、ということかもしれません。

 ただし、それは物語の中心軸をきちんと抑えしっかりと描いてさえくれていれば、の話です。主人公の内面や葛藤や成長を描くことよりドタバタが目立ってしまうと、うるさいと感じる視聴者が出てくるのも、いたしかたないことかもしれません。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン