◆最後の最後までことごとく泣かせる演出
多くの子ども向けアニメーションで、最も哀しいもののひとつとして挙げられるのは『フランダースの犬』だ。報われないネロとパトラッシュの姿に大きなショックを受け、涙した人は少なくないだろう。
しかし『映画 すみっコぐらし』の涙はそれとは少し違う。切なくてたまらないのだけれど、なぜか心が温かくなるのだ。ちっちゃな彼らがお互いを思い合い、懸命に支え合う姿はとても美しく、スクリーンで輝いていた。
すみっコファンの私は、すみっコたちが頑張っているだけで、涙目ものである。それなのに、ストーリーは「すみっコ感」「ぼっち感」をこれでもかとこちらに連打し、涙を煽ってくる。最後の最後まで一切手を抜かず、すみっコたちの表情も、セリフも、音楽も、エンドロールに至るまで、すべてにおいて泣かずにはいられない素晴らしいバランスで仕上がっていた。