(C)2019日本すみっコぐらし協会映画部

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◆もともとせつないキャラクター設定

 記事を書いている私自身、もともと「すみっコぐらし」のファンで、以前より「すみっコぐらし展」や期間限定の「喫茶すみっコ」にも足を運んでいる。すみっこにいると落ち着くという、ちょっと訳ありのキャラクターたちの設定にも心を鷲掴みされた。

 食べられなかったエビフライのしっぽや、飲み残されたタピオカの粒などがすみっこに集まってひっそりと暮らしている姿はとても可愛くてどこか切ない。

 日本人は、隅の席から埋めていくという習性がある人が多い。隅で目立たずにしているほうが楽なのだ。その感性にこのキャラクターたちがフィットしたのだろう。私もそのひとりだ。世の中でひっそりと自分なりに生きているキャラクターたちのささやかなありのままの姿に胸を打たれたのだ。それなのに、映画は、彼らにさらなる切なさを突きつけてきたのである。

(C)2019日本すみっコぐらし協会映画部

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◆すみっこ感が倍増するストーリー展開

 映画では、すみっコたちが絵本の世界に入り込む。そこでは映画限定キャラクターらしい、ひよこが登場する。ひよこもまたすみっコの存在だ。「どこからきたのか、自分がだれなのかもわからない、ひとりぼっちのひよこ」という設定だ。少し灰色で何かを訴えかけてくるようなつぶらな瞳のこのコのお家をみんなで探してあげる物語なのである。

 ひとりぼっちのひよこを物語にプラスしたこの脚本は秀逸だった。なにしろすみっコたちのすみっコ感が一層際立ち、ひよこが現れただけでも胸が締め付けられるような思いがしたからだ。

 そして彼らはひよこの寂しさに共鳴し、献身的にお家を一緒に探しまわる。それは、正義感や単なる優しさから生まれた行動ではない。彼らもまたひとりぼっちのつらさを知っているからにほかならない。

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