ライフ

自然淘汰は嘘?「キリンの首は徐々に伸びた説」が見直される

進化やDNAに詳しい今泉氏(撮影/平野哲郎、キリンの写真/AFLO)

 シリーズ累計売り上げ350万部を超える大ベストセラーとなっている『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(高橋書店)。同シリーズの監修を務める動物学者・今泉忠明さんは、昨年全国12万人の「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」(ポプラ社主催)では堂々の1位に輝いた。

 そんな今泉さんに、動物の進化や寿命について訊いた。

◆“親のクセ”は子供にうつる!?

 進化の歴史において、生き残って子孫を残したのはより優れたものだといわれている。それを「自然淘汰」という。野生動物たちは生き残るためこれからも進化を続けていくが、私たち人間は今後どのように進化するのだろうか。今泉さんはこう話す。

「医師が寿命を延ばしてくれる人間には、自然淘汰の原理は働きません。“最大の家畜”は、豚や牛ではなく人間なのです。極度の飢えや外敵の存在に怯えることがなくなった今、極端な話、戦争でも起こらない限り、人間が身体的に進化することはもうないと考えられています。

 人間のDNAは2%程度しか調べられていませんが、残りの98%の一部にDNAスイッチというのがあり、極限状態で切り替えがされるという説があります。つまり、生きている過程で得た能力が、スイッチONになると、子に遺伝するということ。それが本当ならば、自然淘汰説を唱えたダーウィンの進化論が否定されるので、大変なことです」

 ダーウィンよりさらに昔、ラマルクという生物学者は、「キリンの首はだんだん伸びた」と説いた。首の短いキリンが高所にある葉っぱを食べようとし、その“学び”が子孫に伝わったのではないかという説だ。長く否定されていたが、近年、新たな研究により見直されている。

「線虫(植物などに寄生する数mmの虫)の研究で、学んだことが子孫に遺伝するという結果が出ています。“右へ向かうと食べ物にありつける”と教えた線虫は、子孫も自然と右方向へ行く“クセ”がついているんです。となると、親が一生懸命勉強をしたら、その子はその頑張りを受け継ぐかもしれない。鳶が鷹を生むことは、努力しだいで可能かもしれないということです」

 まだ線虫でしか判明していない結果のため、それがほかの動物にも当てはまるのかはわからない。しかし、自分が学んだことが後世に伝わる可能性は決してゼロではないのだ。

◆寿命がないと絶滅する

関連キーワード

関連記事

トピックス

(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
裁判が進むにつれ山上徹也被告にも徐々に変化があらわれたという(写真/共同通信社)
《引き金を引くことを生きる目的に》山上徹也被告が法廷で初めて感じた“安倍元首相の命を奪った”という強烈なリアリティー 鈴木エイト氏が傍聴席で見た“犯人の実像”
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン