2006年、プロ野球パ・プレーオフで完投勝利したダルビッシュと決勝打を打った新庄剛志(時事通信フォト)
ダルビッシュは自らの口で語ることに喜びを覚えている。過去、メディアによって自身の発言を湾曲された経験も多いと話す。選手自身がファンにダイレクトに伝えることができる時代となった。動画の視聴回数は選手の収入となり、ファンは無料で正しい情報を知ることができる。win-winの構造は完成している。
今後、ダルビッシュにはアンチをファンに変えていくことへ挑戦してほしい。勝手ながらそんなことを考えてしまった。当たり前だが、転向させることはファンを懐柔するより難しい。そんな時、忌み嫌っているメディアを利用することを勧めたい。彼らは情報を発信するプロである。世間ではいまだにヤンチャなダルビッシュといったイメージが流布している。ダルビッシュもYouTuberとなり知性派となった新しいイメージに更新したいと願っているはず。メディアを巧みに活用すれば、多少なりともその助けになるだろう。
もし、十代の頃のヤンチャのイメージが更新され、アンチも魅了するような大人のプロ選手になるだろう。その認知によって、「一般人に噛みつくなとかよく言われんねんけど、噛みつかれるから振り払ってるだけやで? だから今度から振り払ってるって言ってくれ」といったダルビッシュの嘆きツイートも減るはずだ。
そして、現在のダルビッシュといえば動画にテロップをつけることを練習中。今後もますますYouTuber道に邁進していく勢いではある。
●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで月一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)