齋藤:そう。知っているから、感じるんだね。あと、怖い話も好きなんだって?
新津:はい、先生の本(『小学生なら知っておきたい教養366』)に書かれてあった「耳なし芳一」や「吸血鬼ドラキュラ」は、別の本でも読んだことがあって知っていたんですけど、「ジキル博士とハイド氏」は初めて知ったお話でした。あらすじを読んだらすごくおもしろそうなので、今度図書室でさがしてみます!
齋藤:知らないことをおもしろそうって思えるのが、いいですねえ。あのね、誰かとの会話で「今度のドラマの主人公、ジキル博士とハイド氏みたいだね」ってたとえることがあるんだ。そのときに、お話を知らないと、どんな感じ? って思うでしょう?
新津:そうですね、難しいです…。
齋藤:二重人格をたとえて「ジキル博士とハイド氏」っていうんだ。でも、知らないと、この話が通じない。だから、「知っている」っていうのが大事なんだね。本は好き?
新津:大好きです。ドキドキするのが文字で伝わってくることが楽しいです。怖い話を読んだ日の夜は、ひとりでお風呂に入れなくなっちゃいますけど(笑い)。
齋藤:文字を読んで、想像して、興奮したり怖くなったりするのは、頭がよくなる秘訣。活字を読んで興奮できるのは、頭がいいってことだよ。
新津:齋藤先生のおすすめの本はありますか?
齋藤:昔話や偉人伝は、ひと通り読んでおくといいですね。例えば、イソップ童話。『北風と太陽』ってあるじゃない。無理やりじゃなくて、あたたかく接しているとうまくいくよっていう話なんだけど、これを知らない大人に出会ったことがあって。「『北風と太陽』みたいだよね」っていったら、「えっ、なんですか? それ」っていわれて、ちょっとびっくりしちゃったの。さっきの「ジキル博士とハイド氏」と同じで、世界中の人が知ってる話は、知っていた方が、話が合うよ。
新津:みんなが知っている話を自分だけ知らなかったら、会話がすれ違っちゃうかもしれないですもんね。
齋藤:そう、そう。この人とは話が合わないな〜と思われちゃうと寂しいね(笑い)。だから教養があるって、いいんです。
◆世界を広げる大事な言葉は──。
新津:家族みんな漫画が好きで、家に漫画がたくさんあるので、私、漫画も大好きです。お父さんの部屋の本棚に『ドラゴンボール』が全巻あって、幼稚園のころから読んでいました。
齋藤:うちに『ドラゴンボール』が全巻あるんだね。『ドラゴンボール』はいまや世界的な共通言語。そういう意味では、漫画も教養になっているんだよね。ところで、幼稚園生で『ドラゴンボール』が読めたの? 漢字もたくさんあったでしょ?
新津:はい、でも漢字にはふりがながふってあったので全部読めました。それに、もともと漢字が好きなので。