『水曜どうでしょう』前作の「初めてのアフリカ」(2013年)より
ユーチューバーというのは、個人による発信です。すなわち個人の人格がそのまま出る。「この人の動画を見たい」というのは「この人のことを見ていたい」ということです。それはもう「愛」と言ってもいいレベルの感情です。
かたや、視聴者のことを視聴率としか見ていないテレビは果たして愛されているのでしょうか。もう視聴率で番組の価値を決めるシステムを早くやめないと、僕らテレビは誰からも愛されない存在になってしまう。だって僕自身、テレビを見るより、ユーチューバーの彼らのことを見ていきたいと思ってしまったのだから……。
12月25日から北海道でいよいよ6年ぶりの『水曜どうでしょう』最新作の放送がスタートします。20年以上、僕らのことを見続けてくれている皆さんに、今の僕らの姿をそのままお見せします。大泉さんは「手応えがない」と言っていましたが、編集している僕はヘンな手応えを感じているんです。
●ふじむら・ただひさ/1965年愛知県生まれ。1990年に北海道テレビ(HTB)入社。1996年チーフディレクターとして『水曜どうでしょう』を立ち上げる。2009年、演出を担当したHTBスペシャルドラマ『ミエルヒ』がギャラクシー賞テレビ部門優秀賞を受賞。2015年、時代劇集団の藤村源五郎一座を旗揚げするなど自ら役者としても活躍するほか、2019年よりYouTube「藤やんうれしーの水曜どうでそうTV」をスタート。『仕事論』(総合法令出版/嬉野雅道氏とのインタビュー集)ほか著書も多数。
『水曜どうでしょう』の名物ディレクター・藤村忠寿氏