芸能

落語最前線・三遊亭白鳥作品を重厚に演じた五街道雲助

白鳥作品をどう演じたか(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、三遊亭白鳥の新作落語を、古典の重鎮と呼ばれる五街道雲助が重厚に演じた企画公演「白鳥座」についてお届けする。

 * * *
 読売新聞東京本社ビル内のよみうり大手町ホールでは読売新聞社主催の落語会「よみらくご」が年に数回開催されているが、11月14日の第17回は「『白鳥座』へようこそ」と題した企画公演。全員が三遊亭白鳥作品を演じるというもので、目玉は五街道雲助の出演。あの「古典の重鎮」が白鳥作品を演じるとは大事件だ。

 開口一番は白鳥で、この会のために作った『寄席ザワザワ』。深夜の寄席でマイク、メクリ、座布団、襖が会話をする噺で、寄席歴70年の座布団が「新作なんて邪道だ」と言うと、さらに昔から寄席を知る最古参の襖が「新作は邪道じゃない。そもそも古典と新作を分けたのは戦後の落語評論家だ」と落語史を語り、「新作は何十年と寄席で磨いてこそ後世に残る作品になる」と言って“新作の種”を撒き、「その種が芽生えた師匠方がここに集いました。白鳥座へようこそ!」と締めた。

 ドジな看護婦が騒動を起こす『ナースコール』を桂宮治が披露した後、注目の雲助が演じたのは『鉄砲のお熊』。白鳥が2011年の「SWAファイナル」で初演した作品で、白鳥には珍しく時代設定は江戸だ。

 熱海近くの小さな宿場町で幼少期を過ごしたおみつ、時次郎、長吉は長じて女相撲の大関「鉄砲のお熊」、人気の女形「中村夢之丞」、盗賊の頭「マムシの権蔵」となった。権蔵は地元を通りかかった夢之丞を誘拐、身代金百両を要求するが、目的は昔から惚れていた夢之丞を手に入れること。その権蔵と闘って夢之丞を救い出したのが偶然地元にいた怪力無双のお熊で、夢之丞は初恋の相手お熊に求婚するが、お熊は「私は相撲に生きる、あなたは役者として生きなさい」と諭して別れる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
トランプ米大統領と高市早苗首相(写真・左/Getty Images、右/時事通信フォト)
《トランプ大統領への仕草に賛否》高市首相、「媚びている」「恥ずかしい」と批判される米軍基地での“飛び跳ね” どう振る舞えば批判されなかったのか?臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
2025年10月23日、盛岡市中心部にあらわれたクマ(岩手日報/共同通信イメージズ)
《千島列島の“白いヒグマ”に見える「熊の特異な生態」》「冬眠」と「交雑繁殖」で寒冷地にも急激な温暖化にも対応済み
NEWSポストセブン
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン