ライフ

東京で働く地方出身者、帰省時に「東京の人」扱いされる苦悩

帰省する人たちで混雑するJR東京駅新幹線ホーム(時事通信フォト)

帰省する人たちで混雑するJR東京駅新幹線ホーム(時事通信フォト)

 ネットが発達し、通信販売でたいていのものが手に入り、情報も入手できる時代に東京暮らしと地方住まいの差はそれほどないはず……というのは、それらの情報類を上手に使いこなせる人だけ。正月の実家帰省には、地元で暮らす旧友たちの無茶ぶりに応え続ける努力がもれなくついてくるという首都圏で働く人たちのぜいたくかもしれない悩みを、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「すっかり私“東京の人”になってしまいました。ただ東京に住んで、東京で働いているだけなのに…」

 昨年末、東京から中国地方の山間部にある実家に帰った新藤優人さん(仮名・30代)は、今回も地元の幼馴染や先輩、後輩から“東京の人”扱いをされたと訴える。新藤さんは高校卒業と同時に、専門学校へ通うために上京し、そのまま都内のIT系企業に就職した。特段、新藤さんに都会への憧れがあったわけではない。

「エンジニアになりたいという夢があり、その為には大阪か東京の専門学校に行くしかなかったんです。地元や最寄りの大都市である広島や岡山に仕事があれば、実家に帰りたいという気持ちはあるのです。田舎が嫌だ、ということでは全くないのです」(新藤さん)

 地元で酒を飲んでいると「お、地元を捨てた奴が帰ってきとる」と先輩にからかわれ、友人からは「東京のモンはやっぱ違うね」と、嫉妬の入り混じったいじられ方をされる。最初は「俺は都会に住んでいるのだ」という優越感がなかったわけではない。ただ、もう十数年もしつこくこう言われ続けると、嫌気もさすし、そろそろ腹も立ってくる。かと思えば…。

「今度ディズニーに行くから自宅に泊めろ、飛行機や新幹線の安いチケットを取りたいとか、無茶振りとしか思えないお願いをされます。自宅はワンルームのアパートだし、ディズニーなんか行ったこともない。青山のどこどこに行ったことはあるか、吉祥寺は?目黒は?浅草は?と観光の事も聞かれますが、オシャレには無縁だし、美味しいレストランだって全く知りません。地元の連中は東京の人はみんなオシャレでグルメだと思っているみたいなんです」(新藤さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン