長崎県出身で、東京・有楽町の税理士事務所に勤務する松山ひかるさん(仮名・20代)も、帰省のたびに“東京の人”扱いをされるという複雑な心境を吐露する。

「長崎のど田舎出身で、友人のほとんどは田舎に残り、高校卒業から間も無く同級生や近しい人と結婚しました。東京に出られていいね、と言われるくらいならいいのですが、帰省のたびに“東京の流行情報”を求められたり“オシャレなお土産”を求められたり……。私はただ実家に帰って、昔話をしたりゆったりして過ごしたいだけなのに……」(松山さん)

 松山さんの住まいは、実は埼玉・戸田市。電車一本で職場まで通え、都内よりも家賃が安く、静かな環境が気に入って住んでいるのだが、以前地元の友人に問われた際、面倒で「住まいは東京」と言ってしまった為に、今も嘘をつき続けているともいう。

「だから正月帰省の前には“王様のブランチ”(TBS系)みたいな都内の飲食店、ショップ情報をテレビやネットで調べるようになってしまいましたね……。お土産も“東京ばな奈”ではダメで、毎年、表参道や青山、中目黒で人気のお店を調べて買ったり…。以前は確かに“東京っていいよね”と言われて気分も良かった。でも今は、無理して“東京の人”を演じているだけ。苦痛です」

 あなたの周りにいる「東京の人」も、実はこうした苦悩を、ひっそりと抱えているのかもしれない。

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