◆輸出増の背景に世界的な和食ブームと積極的なプロモーション活動
日本酒が海外で人気化している背景には、まず世界的な和食ブームがある。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたのが2013年。健康志向とも相まって和食は世界的なブームを引き起こしている。
2019年時点での海外にある日本食レストランの数は約15万6000店。2013年の約5.5万店から3倍近くに増えた。アジアは10万1000店で2017年に比べ5割増。北米は2万9400店で同2割増、欧州は1万2200店(横ばい)となっている。注目はアフリカで2017年の350店から500店へと5割増だ(農林水産省資料)。
2016年から、日本産食材を積極的に使用する海外の飲食店や小売店を民間団体などが自主的に「日本産食材サポート店」として認定する動きが始まった。2019年9月末現在で4449店が認定されている(飲食店は3129店)。世界中で日本食とともに日本酒が提供される店がそれだけ増えているということだ。
国内外でのプロモーション活動の影響も大きい。昨年(2019年)10月、パリで「SALON DU SAKE 2019」が開かれた。
日本の酒蔵とフランスや欧州の日本酒ファン、事業者が一堂に会するイベントだ。このイベントに国税庁の職員が講師となって、海外のバイヤーたちに日本酒の製法や「うまみ」などの特徴、食材とのペアリングなどを講義。その後、日本酒の試飲や長期熟成酒と生ハムのペアリングなどを体験した。3日間行われたイベントには5129名の来場者があったという。
11月には千葉県の幕張メッセで「第3回“日本の食品”輸出EXPO」が開催され、輸出関連約700社が出展し、世界各国から1万7000人以上が来場した。国内にいながら海外バイヤーに売り込めるチャンスとあり出展企業はあの手この手で関心を惹いていた。日本酒メーカーも大手から中小、零細の酒蔵まで数多くが出展。バイヤーや来場者に日本酒の説明や試飲を行っていた。
こうした国内外でのプロモーション活動が日本酒人気を高めているのは間違いない。