国際情報

女子生徒の化粧を無理やり落とした男性教諭の指導は是か非か

教育現場の指導はどうあるべきか(イメージカット)

 コンプライアンスが叫ばれる昨今、教育の現場でも線引きの難しい事象は多々ある。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 やっぱり中国でも日本と同じような問題あるのだな、そんなことを感じさせる問題がネット上で盛り上がった。注目を集めたのは数枚の写真だった。そこでは、明らかに高校の正門だと分かる門扉の前に生徒たちが集まり、一点を見つめて輪になっていた。

 集まった生徒たちの視線は一様に厳しい。その理由は、目の前で男性教師が厳しい指導を行っていたからだった。1枚目の写真には、登校してきた一人の女子生徒の化粧を無理やり落とす男性教師の姿が映っている。逞しい体に小さめの青いTシャツ、サングラスに角刈りというスタイルだ。その男性教師に有無を言わさず顔を拭われた女生徒は白いシャツにジーパンを履いた姿。2枚目の写真では、長髪のその女性が少し悲しそうに去ってゆく姿が映っているのだが、手前では男性教師が使った黒いタオルを足元のバケツで洗っている様子がうかがえる。

 2枚の写真からは、その白シャツの女性だけではなく、女生徒が次々に同じような仕打ちを受けたことが容易に想像された。これらの写真がSNSにアップされると、ネットの中ではたちまち大きな論争が起きたという。

 賛成派の意見は、概ねこんな感じだ。

〈男性教師の行動は妥当だ。こうした厳しい態度は学生への思いやりでもある。学校で学生がきちんとしているのは当然だ。学生時代は勉強をすべきで、それは一生で一番美しい時間だ。社会に出れば化粧する機会などあふれるほどある〉

 一方の反対派の主張は、こうだ。

〈学校にはもちろん身なりを整えるという規則があり検査もある。けれども、だからといって事前の通知もなく突然、顔をタオルで拭われるのは、あまりに生徒の心を踏みにじる行為だ。まずは言って聞かせるのが道理である。〉

 どちらの意見に共感できるかはさておき、日本でも中国でも、教育の難しさは同様らしい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン