「歌舞伎町でも“変わった人”として有名だったので、業界関係者は『またなんかやってるよ』くらいの反応でしたね(笑)。当時働いていた店舗の経営陣が主導した改名ということもあってか、本人も最初はROLANDという源氏名がしっくりきていなかったようで、親しい先輩ホストに『マジで後悔してます』と嘆いたこともあったとか。それが今ではベストセラーに冠番組ですからね。結果的にROLANDという突拍子もない名前が、特異なキャラクターと絶妙にマッチしたのかもしれません」
現在のROLANDのイメージが、ナルシシズムを極限まで煮詰めたような彼ならではのパワーワードによって形成されたことは間違いない。バラエティ番組やSNSでの発言をそのまま受け取ると傲岸不遜な人物のようにも思えてしまうが、A氏は「実際に会うと、とても礼儀正しくてストイックな人ですよ」と明かす。
「スパルタで有名な帝京高校のサッカー部に所属していたことも影響しているんでしょうね。ROLANDの名言のほとんどは、一般常識から逸脱した自分をネタにして、なるべく他人を傷つけないというスタンス。頭の回転の速さはもちろん、周囲への気配りを欠かさないタイプだからこそ、多くの人の心を掴めたんだと思います」
たしかに「俺の吐く息は空気清浄機よりも綺麗」「酒に酔えないなら自分に酔えばいい」「明日もROLANDでいられますように」など、数え上げればキリがない“ROLAND語録”だが、直接的に他人を傷つけるような内容は見受けられない。SNSで繰り広げられるファンやアンチとの交流も、もはやユーモアセンスを競う大喜利のような様相を呈しており、二流三流のタレントが陥りがちな“炎上芸”とは一線を画するものだ。
過剰なまでに自分を持ち上げる言動の一方で、フジテレビ系『ダウンタウンなう』出演時には家族とのエピソードをユーモラスに語り、著書でも「食事は1日にコンビニのパンひとつだけ」と下積み時代を回想するなど、等身大のパーソナリティを明かしているROLAND。どこまでもポジティブで自信家な一面と、人間味あふれる素顔のギャップも、“ローランダー”にとってはたまらなく魅力的なのかもしれない。
●取材・文/大木信景(HEW)