文大統領の就任間もない頃、ソウルを訪れたケント氏。文氏が住む自宅マンションでは文氏の引っ越し現場に遭遇した

 国際的な常識でも、大半の歴史学者の考え方でも、韓国の建国は1948年です。日本の教科書にも、CIA(米中央情報局)が発行する『ワールドファクトブック』にもそう書かれています。日本が去り、アメリカの軍政を経て、アメリカの支援によって作られたのが、いまにつながっている大韓民国政府です。

 いっぽう、1919年、日本からの独立運動として知られる三・一運動の後、独立運動家が上海に「大韓民国臨時政府」を樹立しています。現在の韓国の憲法には、前文で「三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統」に立脚すると明記されていますが、臨時政府は日本が去るまでの間、国家として国際的に認められる3要件を満たしたことはありません。つまり朝鮮半島に領域を持ったことも、国民を持ったこともなく、権力を行使したこともありません。当然、臨時政府は連合国の一員ではなく、承認した国もありません。

 韓国国内でも、建国が何年なのかは常に論争となってきました。主に保守派は1948年説を支持してきたのに対し、左派は1919年を主張し、学校でもそのように教えられることが多いといいます。

 建国の「精神」を1919年に求めることは可能かもしれませんが、実態のある国家としての連続性は、世界的に認められていませんし、韓国政府もそのように説明してきたはずです。そこにあえて文在寅は踏み込んでいたのです。

◆1919年以降の日本統治はすべてが「不法行為」?

 これが韓国における反日にどんな影響を及ぼすのでしょうか。

 日韓併合条約は国際法上何も問題がなく、日本による朝鮮半島の統治は言うまでもなく合法でした。そこで日本が何をしたかを韓国人が批判することはできるかもしれませんが、日本が統治できる立場にあったこと自体は否定などできません。

 しかし、1919年に大韓民国臨時政府が設立され、それがいままで続いているという立場を取ると、1919年以降日本が朝鮮半島を統治してきた行為すべてが、本来の大韓民国の土地と国民を「不法に」統治し、韓国政府の主権を侵している「不法行為」だと定義できることになるわけです。

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