開始から約1か月、そろそろ使い方を覚えたかな……、と思ったものの長州は「こら山本!取材の時間長いぞ!昔の写真使って小力とかに喋らせて、長州さんに聞きましたとかで、お前が適当に書いとけばいいだろ、、、!?」と書いた。
この「山本」については多くの人が週刊プロレス元編集長のターザン山本を連想したが、格闘技雑誌『KAMINOGE』の井上崇宏編集長の名をずっと「山本」と誤解しているらしい。それはともかく、この文面は、私信にしか見えないのである。この文は以下のように解釈できる。
「山本の取材時間が長過ぎる。撮影時間も長過ぎる」という前提があり、長州はこう言いたいのでは。
「オレを拘束するな! 写真なんて昔の写真を使い回せ! 長州小力にオレから聞いたとされる話をさせときゃいいだろう、山本! あとはお前がテキトーに書けば記事なんてできるだろ、ナニコラ、タココラ!」
まさに「捏造記事」執筆を教唆しているようにも見えるのである。とはいってもプロレスは「謎のマスクマン」が来日したといってもそいつは出国・入国手続きを経ているため、ゴーン氏とは違って謎でもなんでもない。そんなうさんくささも含めてプロレスの魅力である。長州のツイッターはそれを体現してくれている。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2020年2月7日号