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視力検査と聴力検査ではわからない重病や、その落とし穴

「耳が遠くなった」は調べていない

 健康診断を受診する際、期待と現実に大きなギャップが生じる検査がある。必ず行なう視力検査で良好な結果が出ると、ホッと胸を撫でおろす人は多い。

 だが「視力の良さ」と「失明リスク」は別物だ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。

「健康診断の視力検査は、単に視力が低下していないかを診るもので、日本人の失明原因1位である緑内障を調べるものではありません」

 緑内障は視神経の障害により徐々に視野が欠け、最悪の場合は失明にいたる病気だ。自覚症状がなく、気づいた時は末期というケースもある。

「『視力1.0だから』と油断しているうちに緑内障が進行しかねません。自覚症状がないため、40歳になったら一度は、緑内障を調べられる『眼底カメラ検査』を受けるべきです」(同前)

 ヘッドホンを装着して「ブー」「ピー」などの音が聞こえたらサッとボタンを押す聴力検査にも盲点がある。NPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。

「一般的な職場健診の聴力検査では、周囲の騒音で耳が悪くなる『騒音性難聴』によって聞こえにくくなる周波数を調べます。加齢によって内耳にある感覚細胞や神経細胞が消失する『加齢性難聴』によって聞こえにくくなる音域は調べません」

 加齢性難聴になると高い音や子音が聞こえづらくなり、「佐藤」と「加藤」、「洗う」と「笑う」などの聞き間違いが多くなる。60~70代で始まることが多く、80代で約8割が患うとのデータもあるので、自覚症状がある場合は早めに耳鼻科を受診すべきだろ

※週刊ポスト2020年2月7日号

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