子育て応援車両が導入された7月の時点では、3編成が運行されていた。しかし、利用者から好評を得たこともあり、今年2月1日からは7編成に増やすことが発表された。
「子育て応援車両は、壁などに“トーマスのイラスト”が描かれているなど、親子揃って楽しみながら乗車できる工夫をしています。しかし、車両の構造に関しては、車イスの乗客が利用しやすいように工夫されているフリースペース車両と同じです」(同)
子育て応援車両と称したフリースペースを設けている鉄道会社は増えているが、多くは見た目も構造もフリースペース車両と変わらない。そういう意味で言えば、イラストを配した大江戸線は一歩先んじている存在でもある。
しかし、東京都交通局は都電荒川線に“とあらん”、都バスに“みんくる”というマスコットキャラクターを採用している。今回、大江戸線に導入した子育て応援車両には、トーマスが採用されている。
「地下鉄ということもあって、“とあらん”や“みんくる”は採用しませんでした。大江戸線の子育て応援車両は試験的な運行ということもあって、幅広い世代に人気が高く、訴求力が強い“トーマス”を選びました」と理由を明かす。
東京都交通局は、大江戸線のほか浅草線・三田線・新宿線など地下鉄3路線を運行している。子育て応援車両は大江戸線のみの導入であり、ほかの3路線には導入されていない。
浅草線・三田線・新宿線は他社線とも相互乗り入れをしているため、子育て応援車両を乗り入れするには他社との調整が必要になる。そうした調整には時間がかかるため、自社の判断だけで決められる大江戸線から手始めに導入することになった。
「今後、子育て応援車両を浅草線・三田線・新宿線にまで広げるかについては、現時点で未定です」(同)
こうした子育て応援車両は日常の通勤や外出で重宝するが、親子で電車に乗っている時間は長くても30分程度。まだ、子育て応援車両に頼らなくても何とかなる時間と言えるだろう。