講談界の大名跡である神田伯山が復活するのは、実に44年ぶりとなる。
「伯山を襲名するプレッシャーは相当なものだと思います。私は打たれ弱いので、前座時代は『一龍斎貞山の娘』というプレッシャーに負けまいと“いい子”を演じて失敗したけど、兄さんはハートが強い。兄さんがメディアにドカンと出て頂くことで、『講談っていったい何?』と一般の方に興味を持ってもらえるのは本当にありがたいことです」
伯山襲名がきっかけとなり、講談がかつてのように多くの庶民に愛される伝統芸能となる──それがいま、貞鏡さんが望んでいることだ。
「講談は、『実際に聞いてみたら本当に面白いね』と皆さんに言ってもらえる芸能なので、一部の人しか知らないのはもったいない。多彩な話があり、様々なタイプの講談師がいるので、どなたでも好みのネタや講談師が見つかるはずです。興味を持たれた方はぜひ一度、高座に足を運んでいただきたいですね」
●取材・文/池田道大(フリーライター)