「時代がどのように変わろうとも、プロ野球は“競争”“実力”“勝負”。他人に頼ることができない世界。ハングリー精神がなければ生き残れないし、一流選手が出てこない。一流選手が出ないとライバル関係も生まれない。このような時代だからこそ夢や目標を持ち、ハングリー精神を忘れてもらいたくない。そういう選手を育ててもらいたい。
最近は能力より処世術で監督になるケースが少なくない。だから、どのチームも判で押したような戦い方ばかり。そして、勝利の方程式だとすぐに型にはめようとする。勝負ごとに方程式などあるはずがなく、弱者には弱者の勝ち方がある。私が最下位のチームを任されても恥をかかなかったのはそれができたから。プロ野球の監督は裏方。表に出るヤツはダメ。功は人に譲れというが、勝ったのは選手のお陰という謙虚な気持ちで采配を振るってもらいたい」
自らを「月見草」と評した野村氏らしい言葉でインタビューを締めくくっていた。
◆取材・文/鵜飼克郎