ライフ

【著者に訊け】話題作連発の宇佐美まこと氏『黒鳥の湖』

宇佐美まこと氏が『黒鳥の湖』について語る

【著者に訊け】宇佐美まこと氏/『黒鳥の湖』/祥伝社/1700円+税

 昔、理科の実験で驚いた憶えがある。赤、青、黄と、色は重ねるほど黒に近づき、かたや光は重ねれば重ねるほど色を失い、まっさらで白々した像を結ぶことに。

「あと、白は何か混ざるとすぐ濁るけれど、黒は何が混ざっても黒は黒なんですよね。私自身は断然、白より黒派。その黒がどんな成分でできているのか、過去や来歴に興味津々なんです」

 宇佐美まこと氏の最新作『黒鳥の湖』も、白ならぬ黒だけに侮れない。物語は、若い女性を拉致し、衣服や体の一部を家族に送り付けた上で殺す連続殺人鬼の恐怖と、美しい妻も娘も事業も全て手に入れた不動産会社社長〈財前彰太〉の幸福な日常とが一見無関係に並走する。だが、次第にその接点に見え隠れする人々の過去や闇や傷が、読む者の心を嫌というほどざわつかせるのだ。

 実は彰太が〈由布子〉と結婚し、麻布十番商店街で貴金属店を営む伯父〈文雄〉の遺産を相続したこと自体、醜い嘘と悪意の産物だった。しかも連日世間を騒がせる〈肌身フェチの殺人者〉の卑劣な手口に彼は思うのだ。〈あまりに似すぎている、あの時に聞いた話と──〉。

 作家としての始点は怪談。それも第1回『幽』怪談文学賞の応募要項を見るなり、「私の賞だ」と確信したというほど、怖い話は大好物。

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン