◆問われる管理職の存在意義

 じつは、部下よりももっと危ないのは上司、管理職である。

 彼らは目の前にいる部下に対して何かと口を出し、指導や助言を行ってきた。また情報を伝達したり、仕事を調整したりすることが主な役目だった。それによって、他人から認められたいという「承認欲求」を満たしていた。また彼らにとっては会議やミーティングは「ハレの舞台」であり、その場を仕切り、意見をまとめたりすることで存在感を示してきたのである。

 テレワークで目の前に部下がいなくなると、自分の「偉さ」を示すことができない。それだけではない。テレワークが首尾よく機能したら、上司がいなくても仕事に支障がないことが明らかになってしまう。仮に上司がいないとむしろ仕事がはかどるというような声が広がりでもしたら、上司にとっては大変だ。「やっぱり課長がいてくれないと……」という声が広がることを心の中で期待している管理職もいるのではなかろうか。

 いずれにしてテレワークによって管理職の存在意義が問われることは間違いない。では、どうすればよいか?

 管理職の役割は部下の管理だと思い込んでいる人が多いが、管理職の原語は「マネジャー」である。そしてマネジャーの役割は人の管理ではなく、仕事のマネジメント、すなわち自分が担当する部署の業務を効率的に遂行し、組織の目標を達成することだ。

 人の管理はそのための手段に過ぎず、目的や目標ではないのである。部下に働きやすい環境を提供してモチベーションと生産性をあげてもらい、その実績と評価によって承認欲求を満たすようにすればよい。

 テレワークを機に会社も、管理職自身も原点に立ち返り、そこから社員、部下との関係性を見直せば日本企業にとっても、「災い転じて福」となるかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン