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中国で医師への暴力が多発、10年で362人負傷24人死亡

傷を治す場所が暴力事件の舞台に

 中国では医療現場で、医師が患者や患者の家族から暴行を受け、死傷する事件が多発していることが問題となっている。末期のがん患者が亡くなったことで、家族が医師に「満足な治療をしなかった」などと思い込み、逆恨みして暴力をふるいナイフで刺し殺す事件も昨年末には発生。さらに、このところ猛威を振るっている新型コロナウイルスによる肺炎患者が医師の治療がおざなりだとして、暴力をふるうケースも増えているという。

 2018年の中国医師会の報告書によると、中国の医師の66%が患者から文句を言われるなど口論になるケースを報告しているのに加えて、30%以上の医師が患者からの暴力を経験しているという。中国政府は今年6月に基本的な医療や医療サービスに関する初めての基本的かつ包括的な医療基本法が施行するが、患者の医師への暴力事件の増加の方が医療現場では解決すべき最優先課題になっているようだ。

 昨年12月24日の夜に、北京の民間総合病院で、95歳の脳卒中患者の息子が診察中だった女性医師の首をナイフで刺すという事件が起き、医師は翌日亡くなった。

 中国中央テレビ局によると、この息子は父が高齢なので、医師がまともに治療をしてくれないという不満を抱いていたそうだ。息子はことあるごとに医師に対して「しっかりとした治療をすべきだ」と言い続けていたという。

 しかし、患者の容態は日を経るごとに悪化していることから、医師の治療がおざなりだったと思いこみ、医師を逆恨みして、刺殺したとみられる。息子は殺人容疑で逮捕され、父親は他の病院に移された。

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