感染研OGの大坪寛子審議官(時事通信フォト)
その岡田氏が世間を驚かせたのは、2月28日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』での「涙の告発」だった。日本でPCR検査が進まない理由について、「民間に検査を委託すると感染研(国立感染症研究所)がデータを掌握できない。“データを感染研が自分で持っていたい”と言っている感染研OBがいる」と明かしたのだ。
日本のPCR検査実績は極めて少ない。韓国は3月5日までに14万人以上に実施したが、日本はわずか8111人に過ぎない(4日時点)。
“古巣”に向けた岡田氏の告発は、多くの国民が抱える不満に真正面から答えるものだった。NPO法人・医療ガバナンス研究所理事長で、新型コロナウイルス問題でもテレビに多く出演する上昌広医師が言う。
「30年以上前に開発されたPCR検査は難しい検査ではなく、民間に回せば韓国並みの検査数は容易に達成できます。それをしないのは、感染研がデータや予算を独占したいからと疑われても仕方ありません」
なぜ、岡田氏は他のコメンテーターより一歩も二歩も踏み込めたのか。岡田氏が語った「感染研」という組織を探ると見えてくる。
◆“ムラの論理”を忖度
厚生労働省に所属する研究機関である感染研は、新型コロナウイルス問題でも中心的役割を担う。
政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の座長は感染研所長の脇田隆字氏。鈴木基・感染研感染症疫学センター長と感染研OBの岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長もメンバーだ。