「政府の対応が遅れた背景には、4月に国賓来日を控えていた習近平氏への遠慮や、今夏の東京オリンピックへの影響を避ける狙いがあったと指摘されます。そうした躊躇が、水際対策を完全に“決壊”させ、国内の感染者の増加に歯止めがかからなくなった。
いまごろになって中国全土からの渡航を拒否しても、とっくに感染が拡大しているので効果は望めません。政府の遅すぎる対応には疑問だらけです」(前出・全国紙社会部記者)
新型コロナウイルスという国家的危機において図らずも露呈したのは、トップのリーダーシップの欠如だった。
「諸外国のトップは積極的に安全策を講じ、胸を張って“万全の医療体制を整えました。安心してください”と揃って国民に呼びかけました。一方、安倍首相は“協力してください”と国民に要請するのみです。語りかけ方がすでになんとも頼りないし、不安しかかき立てません。
しかも全国一律の自粛要請はしないと言いながら、一転、大規模イベントの中止や延期を要請するなど対策に一貫性がない。国民はリーダーによって右往左往させられている状況です」(政治ジャーナリスト)
憲政史上最長在任となった安倍首相は危機管理能力の高さが売りだったはずだが、本当の危機を目の前にするとその存在感は薄れるばかりだ。
※女性セブン2020年3月26日・4月2日号