学生が春休みになるなど移動が増える2~3月は、いつもなら高速バスが混むので格安から高価格帯まで早めに予約しないとすぐ満席になるのが普通だ。ところが、いくら安くても長時間、密室になる高速バス移動が敬遠されるのか、3月の週末になってもなかなか満席にならない。当然、民泊を利用するという人も少なくなっているだろう、打撃はいかほどかと川添さんに電話をかけると……。

「もう無理です。1月の後半頃から都内の物件は一つも予約が埋まっていません。客が来なくても家賃は払わなければならないため、月に数百万円の赤字、このままでは五輪前に破産です……」(川添さん)

 と、きつい苦しいどころか、もはや破産寸前の窮状を訴える。わずか二ヶ月の間に何があったというのか。そもそも、二ヶ月でそれほど苦しくなってしまうのが「民泊」なのか。我々素人からすると「大げさ」にも見えてしまうのだが……。

「そもそも元金などない状態から民泊を始めました。月に15万円のワンルームを借りて、一泊一万で貸せば月に30万円の売上です。もちろん、民泊運営を定めた法に則り、年間180日、およそ半年しか物件を貸し出すことはできませんから、諸経費を引けば利益は数万円程度。めちゃめちゃに儲かるというよりは、細い儲けをたくさん持てば、それなりに収益が上がるという皮算用です。私の場合は銀行や信用金庫からカネを借りて、とにかく部屋を借りまくり、民泊用に又貸しする。この一年ほどは儲かりすぎて気にしていませんでしたが、要は自転車操業なんです。手持ちの資金で持つのは5月か6月がいいところ。オリンピックが延期にでもなれば、破産するしかありません」(川添さん)

 東京・大田区、千葉県千葉市など「特区」と言われるエリアでは180日を超える民泊の貸し出し営業が認められている、しかし、川添さんの所有する物件は、特区以外がメイン。オリンピック需要だけでなく、あらゆるインバウンド需要なども見込んで、複数エリアでの事業を展開したが、まさか国ごと「隔離」されてしまうことになるとは、想像すらできなかったと嘆く。「損切り」ということで、民泊事業用に借りている物件を全てキャンセルしても、支払った敷金や礼金を考えれば、これまでの努力がゼロか、場合によってはマイナスにも転じてしまう。そのため、少なくない民泊事業者たちは、ネットオークションやフリマサイトまで使って、物件の権利を投げ売りしているのだという。

「私もいくつかの物件の権利をすでに売却していますが完全にマイナス。契約によって権利を売却できない物件もありますが、中にはお構いなしに売り飛ばしている人もいるようで、一気に寒い業界になっちゃいました。残った部屋に人を呼ぶために、マスク一箱を置いて”使い放題”なんてやってる民泊仲間もいますが、それでも来ない。仕事も辞めてしまったし、この二年間は良い夢を見たとしか思うしかないのか……」(川添さん)

 五輪バブルにうまく乗ったはずが、コロナパニックで一足お先に計画がご破算になってしまうという例は民泊に限らず、今後も続出していくのかもしれない。

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト