【4】慌てて病院に行かない

 新型コロナウイルスの治療薬はまだない。HIVの抗ウイルス薬やエボラ出血熱の治療薬、さらに日本の製薬会社がつくった抗インフルエンザ薬「アビガン」、ぜん息用のステロイド薬「シクレソニド」などが、期待されている。

 しかし、現時点では病院に行っても「様子をみましょう」ということが多い。2009年に新型インフルエンザが猛威をふるったとき、かぜ様症状の人が病院に殺到した。病院で感染してはいけない。病院の機能を守って、より重篤な人の命を救うためにも、軽症の人は自宅療養を基本としたい。

【5】新しいルールづくりを

 シンガポールでは、せきや鼻水などの上気道感染症の症状が出たら5日間、休暇を取ってよいルールをつくった。日本もよいところは取り入れるべき。

 そして、感染者を差別したり、犯人扱いしないようなリテラシーも、社会全体で醸成されるといいなと思う。クルーズ船にサポートに入ったDMAT(災害派遣医療チーム)のスタッフが、勤務先の病院に戻ったときにばい菌扱いされたという。差別は、ときにウイルスよりも感染力が強い。科学的な根拠のうえで必要ならば隔離はするが、差別はしないという考え方を徹底することが大事だ。

 日本はかつてハンセン病やHIV患者に対して間違った情報のもとに人権を侵害した歴史がある。今回の新型コロナウイルスがせめて、命のリテラシーを高めるきっかけになればいいと願っている。

●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。

※週刊ポスト2020年3月27日号

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