世界的な感染拡大が続く新型コロナウイルス。これまで医療従事者や職員に新型コロナの陽性患者が出て外来を閉鎖したり、陽性患者の通院によって院内感染が広がり、医療現場がパンクするケースが報じられてきた。
これに加え、現在急増しているのは、備品不足による病院の自主休診だ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。
「全国の医療機関でマスクやアルコール消毒液が不足しています。本来ならば医師は患者ごとにマスクを変えて手洗いをすべきですが、慢性的な供給不足が起きており、新型コロナ陽性患者の受け入れを表明した病院ですら、医師に支給できるマスクは1日1枚というところがあります。
いまや世界的な感染拡大で需要が増えており、全国の医療機関に十分な量が供給される見通しが立たない。この先、休診に追い込まれる医療機関がさらに増加する可能性がある」
全国47都道府県の保険医協会は、「医療機関のマスク・消毒液不足」に関する緊急アンケートを実施した。各都道府県のアンケート結果は4月初頭に取りまとめられる予定となっているが、業務用マスクについて茨城県保険医協会では、「既に足りない」が20.2%、「足りているが、あと15~30日分しかない」が50.6%に達するなど、集計が済んだ多くの地域で同様の備品不足が続出した。
アンケートの自由回答では、「このままでは休診に追い込まれる」(千葉県保険医協会)、「早く納入できなければ、医療に支障が出ます」(岐阜県保険医協会)など、現場の窮状を訴えるSOSが噴出した。
このような状況の中で、今後、新型コロナの感染者が増加していけば、病院閉鎖はますます拡大していく。
※週刊ポスト2020年4月10日号