国内

「特定抗争指定」と「コロナ」でヤクザ業界にも在宅勤務の波

コロナ自粛で夜の街も閑散

コロナ自粛で夜の街も閑散

 警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回はコロナ自粛の広がる中で、ヤクザ業界の今をレポートする。

 * * *
「暇っすよ暇! おまけにコロナで、やることないですって」

 そう話す六代目山口組関係者の表情は、いかにも退屈そうだった。

「抗争が激しくなってきた時は、バンバン電話やラインがきたけど、今はどこも何も動いてないから情報もない。最近は連絡も週に1回ぐらい。『気をつけてくださいね〜』って言われて、『何に気をつけるの? コロナ? 抗争? どっち?』って聞いちゃいましたよ」

 軽口が出てしまうぐらい業界では動きがないらしい。

「“特定”がかかってからは、本部や大阪に行くこともないので本当に暇!」

“特定”とは「特定抗争指定暴力団」のこと。昨年から六代目山口組と神戸山口組の間では抗争が激化していた。報復が報復を呼んで相次ぐ銃撃事件が起こり、兵庫や大阪、愛知、岐阜など6府県の公安委員会は1月7日、この2つの組織を「特定抗争指定暴力団」に指定した。抗争に絡む本部や組事務所、幹部宅がある6府県10都市が警戒区域に指定され、事務所の使用は制限された。

 組事務所が使えなくなると、傘下組織の組員が本部や大阪に交代で常駐し警備や警戒をしていた“当番”がなくなった。彼らも今や“在宅勤務”なのだ。

「当番がないのは楽といえば楽ですけど…なんだかね」

 言葉を濁しながらラインに送られてきた写真を見せてくれた。

 大きな組事務所の前には、赤枠で囲まれた張り紙が貼られ、そこには「この事務所に立ち入り、またはとどまることは禁止」と赤い大文字が書かれている。

「見てよ、これ。閑散としてまるでシャッター商店街。うちの組も同じだけど」

「年末に挨拶に行ったのが最後。今はヘタに集まると捕まるし」

 特定抗争指定では、組員がおおむね5人以上集まると即逮捕となる。

「5人以上で集まるな!という通達が流れんだが、大阪ミナミの喫茶店で、4人なのに任意同行され調書を取られているんでね。4人でも行動するなという通達が出た」

 大阪府警は指定した翌日の1月8日、ミナミの喫茶店で席にいた組員3人と店近くに停めた車内にいた組員1人に任意同行を求めたのだ。

 他にも新幹線や飛行機に乗る時も申告、飲食店で組員らしき者がいたら入らない、公共施設でのケンカやもめごとなどは一切禁止。末端の組員までそれを通達するようにと指示があり、親戚関係の他団体とは日頃から仲良くして、もめることがないようにという通達も流れてきているという。

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン