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2020.04.03 16:00  週刊ポスト

なぜ人は映画が小説化されると不満を覚えるのか、に迫る

「実はポストモダンの基本もノスタルジアにあって、モダンはもう手に入らないという感覚に基づいたわかりやすい話なんです。

 人は印象的な出来事に出会うと、それと似た経験を過去や未来に探して生きようとします。新型コロナの影響下の空気の中で、3.11の頃を思い出すとかもそうですよね。ハイカルチャーとサブカルの区別もあまり意味をもたなくなった現代において、小説でも評論でも、とにかく作品を生み続けることが、100年前と100年後のノスタルジアを繋ぐと僕は思うのです」

 ゴダールの『勝手にしやがれ』がリチャード・ギア主演『ブレスレス』としてアメリカでリメイクされ、さらにその仏語小説版が『勝手にしやがれ、メイド・イン・USA』となる事態を、〈過剰な商業主義的態度〉と揶揄するのは容易い。だが、本書の目的は〈正統的な「映画愛」の持ち主〉に疎まれ、俎上にも上らなかった作品の再評価にこそある。批判一辺倒の旧来的で20世紀的な態度からの解放を、波戸岡氏は後世のために飄々と目論むのだ。

【プロフィール】はとおか・けいた/1977年生まれ。千葉大学卒。慶應義塾大学大学院後期博士課程修了。博士(文学)。明治大学理工学部教授。「理系の学生に語学と各々の専門領域を教えるのがこの教室で、実は教える側から芥川賞作家が3人も出ている面白いところなんです」。著書は他に『ピンチョンの動物園』『コンテンツ批評に未来はあるか』『ラノベのなかの現代日本』『ロケットの正午を待っている』『教師の悩みは、すべて小説に書いてある』等。172cm、62kg、AB型。

構成■橋本紀子 撮影■国府田利光

※週刊ポスト2020年4月10日号

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