芸能

2010年M-1決勝、スリムクラブを泣かせた笑い飯の一言

 M-1の歴史は、言い換えれば、スピード化の歴史だった。テンポが早ければ早いほどボケをたくさん詰め込むことができるし、それだけ笑いの数も多くなる。スリムクラブはその逆を行ったのだ。

 声を発していないにもかかわらず、客の笑いが途切れることはなかった。審査員の松本人志も大爆笑していた。真栄田はM-1の予選と決勝の違いをこう語る。

「決勝は審査員がいる。お客さんも、審査員の表情を見てる。はっきり言えば、松本さんが笑ってるかどうかを見ている。だから、松本さんを笑わせたら勝ちですわ。松本さんがオッケーということは、神さまがオッケーということですから。それで、みんながおれらのファンになってくれたんだと思います」

 内間はたっぷり間をとったあと、ようやく言うのだ。

「……してません。人違いだと思います」

 そこで客席が爆ぜた。間で火薬をまき、言葉で引火する。そんな漫才だった。真栄田が説明する。

「内間には、たとえば、埼京線で、変なやつが近づいてきて、変なことを言われたら、どうなる? と。身の危険もあるから、一瞬、体が固まる。下手なこと言って逆上されても困るから、なかなか声も出ない。その感じを出そう、と。おれの言葉をまず胸に染み込ませて、染み込んだところでじわって出てくるものなら言ってもいいと言ったんです。そうしたら、ああなりました」

 それにしても、つくづく不思議なコンビである。真栄田のいちばんのファンを公言する内間は、まるで、真栄田の隣という特等席で、ただ、大好きな真栄田の語りに聴き惚れているだけのようにも見える。

「あまりにファンファンしてて、ちょっとお前、無責任だろうという気持ちもあるみたいなんですけどね。もっと来いよ、みたいな」

 スリムクラブの独特の間、独特な感性は、沖縄人ゆえかと思ったが、前事務所オリジン・コーポレーションの先輩であるひーぷーはこう否定した。

「いや、あいつらは特別ですよ」

関連記事

トピックス

山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン