スリムクラブを評価するミッキー
そのひーぷーとかつて漫才コンビを組んでいたミッキーもこう感嘆する。
「普通、漫才をやってたら、あの間はないと思いますよ。あんなに黙るって、できない。あんなに待ったら、普通は、もう何も言えなくなります。言うタイミングがわからなくなると思う。えっ、次、どこで言えばいい? って」
1本目を終え、審査員が得点を発表する段となった。「94」「91」「88」「91」「93」と高得点が続いた。そして6番目の松本人志は「96」と、7人の審査員の中でもっとも高く評価した。それを見て、真栄田の目が潤んだ。
「大好きな、一番尊敬する人にもらった点なので」
◆「いつまでも内間と漫才をしてたい」
M-1は上位3組が最終決戦に進出する。スリムクラブは、そこまで断トツとなるトータル644点を叩き出した。3組目だったのであと6組残っていたが、十中八九、最終決戦でもう1本ネタを披露しなければならない立場に立たされた。
ところが、予選は1本のネタで通してきたため、2本目がなかった。1位の暫定順位席に座った真栄田は、思わず内間の手を握りしめていた。
「それを見て、横のジャルジャルが笑ってましたね。でも、そのときのおれは必死だったので、そうして、落ち着け、落ち着け、って。2本目用に未完だったネタをその場で作り直してたんですよ。あれをやって、これをやって、あそこでおれがこう言うから、おまえはこう返せ、って。絶対大丈夫だからな、っていう感じでしたね。でも2本目は、今日は受け入れられてるなっていう感覚があったので1本目の時のような恐怖感はありませんでした」
2本目もスリムクラブは会場を大きく揺さぶり、最大級のうねりを起こした。真栄田は客がウケると膝を浅く折る癖があるのだが、2本目も何度も足をくの字にしていた。2本目のネタを終え、袖に隠れた時点で真栄田は涙ぐんでいた。
「十分、やり切ったので。よかった、よかった、今日は、これから内間と飲みに行こう、って。もちろん、六本木ですよ」